音楽で地域とつながるシェアハウス

K様のご両親所有の、思い入れの深い住宅兼工場で、木造と鉄骨造が入り混じった築50年のこの建物。

「この建物を活用して、色々な世代が集い、応援し、支え合い、楽しむ事ができ、さらには生まれ育ったこの町を、地域の人やお店と協力しながら盛り上げていきたい」とK様からご相談を頂きました。

度重なる打ち合わせを経て、決定したのが、「コミュニティスペースを併設した、音楽スタジオ付き女性専用シェアハウス」でした。

コミュニティスペースは、地域の方々が自由に出入りできる広い空間となっています。キッチンを併設しているため、不定期でカフェを開いたり、お料理会を開催したりと様々な用途で使用する事ができます。
壁は親しみやすいイエローで塗装し、かつての面影が残る柱や梁もそのまま活用しました。

奥には大小２つの音楽スタジオがあります。こちらは音楽活動をされているK様が、レッスンや演奏会を行なったり、シェアハウスの入居者が自由に使える場所となっています。
和太鼓を叩いても音が漏れない性能の防音工事を行なっており、周りを気にする事なく使用する事が可能です。

２階のシェアハウスは、コミュニティスペースとは完全に別のエントランスを設けました。
共用のLDK、洗面所、シャワールームと全７部屋の居室で構成されています。

LDKは、白で塗装した壁に既存の面影が残る、柱と梁をそのまま活用したシンプルな空間となっています。
ダイニングキッチンとリビングは高低差を利用し空間を分けつつも、壁は作らずつながりを持たせた事で、別空間にいても入居者同士の会話が生まれるような工夫を施しました。

シェアハウスは女性専用という事で、朝の支度の混雑などを解消するため、洗面台を多めに４ヶ所設けました。
壁面にはサブウェイタイルを使用し、女性らしくシンプルなデザインになっています。

全７部屋の各居室は、鉄骨造の工場だった２階に６部屋、木造で住居だった２階に１部屋を配置しました。
すべての部屋に窓が付くように配置する事を基準とし振り分けています。
内装は入居者が自由にカスタムできるように、シンプルなデザインにまとめました。

シェアハウスの入居者、地域の方々、K様、イベントに来られた方々など、それぞれがそれぞれの場所で交流し、会話し、楽しむことのできる場所が今回のリノベーションによって生まれました。

ご両親の思い入れのある建物を取り壊すことなく継承しながらも、建物に新たな価値を持たせ、人と人が交流できる素敵な場所となりました。