2023.5.2

駅を巡る、街を知る 『売布神社駅』

  • # まち情報
駅を巡る、街を知る 『売布神社駅』

売布神社駅

初めてこの駅の名前を見た人で、正解を言える人は恐らくきっといない。「ばいふじんじゃ…いや、うふじゃんじゃ?」と誰もが戸惑うと思います。

正解は、「めふじんじゃ」。阪急宝塚線には、神社仏閣に由来する駅名がいくつかあり、売布神社駅もそのひとつ。他にも「中山観音」駅、「清荒神」駅などがあります。

売布神社駅は、終点である「宝塚」駅の2つ先の駅。急行・普通どちらも停車し、「大阪梅田」駅は30分ちょっとで到着します。

ちなみに宝塚駅といえば、あの有名な「宝塚大劇場」の最寄り駅。

外観・内観ともにエレガントな雰囲気は、まさに宝塚。

▲宝塚といえば…そう!「宝塚大劇場」。

宝塚駅と劇場を結ぶ「花のみち」というスポットがあり、桜をはじめ四季の花々や植物を楽しめます。

▲「花のみち」には、2020年6月に移転した「宝塚ホテル」もあります。

また、宝塚駅には他にもJR宝塚線や、阪急・JR・阪神の3つのバス乗り場、阪急百貨店・商店街もあり、利便性に優れた駅です。

 

売布神社駅で見つけた不思議な建物

売布神社駅に着くと、目の前に現れる複雑な形をしたパステルカラーの不思議な建物。

実は、「ピピアめふ」というローカルショッピングセンター。スーパー・銀行・薬局・料理教室・キッズクラブ・市役所出張センターなど多種多様なテナントが入っています。

▲売布神社駅のホームから見た建物の裏側。テーマパークにありそうな見た目ですね。

そして、驚くことにショッピングセンターには、映画館も入っていました!

映画館らしい鮮やかな赤色の外観と、あちこちに貼られている映画のポスターたちに胸が躍る。ピピアめふの5階、そこにローカル映画館「シネ・ピピア」はありました。

入口に立つと、ポップコーンの甘い香り…ではなくコーヒーの芳ばしい香りが鼻をくすぐる。レトロなフロアタイルと家具がディスプレイされた空間は新鮮さもありながら、どこか懐かしい気分になります。

お客さんは、ほとんどが地元の人。平日にも関わらず、朝の10時オープンと同時に次々と訪れ、あっという間に待合スペースを埋め尽くしていました。まるで行きつけの喫茶店のように、「今日のお勧めは?」と聞く人も多く、長年通い詰めている常連さんが多いことを感じさせます。

他にも、「バグダッドカフェ」というカフェも併設されており、映画を見終わった人たちが感想を言い合いながら映画トークに花を咲かせます。

丁寧にハンドドリップされた珈琲がこのカフェの一番人気。まさに、大人のための映画館という感じ。

 

館長さんが語る、シネ・ピピアの魅力

宝塚市は、歌劇場もあることから『音楽のある街づくり』を大切にしています。わたしたちもそれに習い、音響設備にはとてもこだわっています

50席2館のミニシアターを持つシネ・ピピア。こじんまりとした空間ながら、米・メイヤー社製のコンサート用スピーカーから流れる粒だった美しい音色のBGMは、映画の世界観により没入させてくれます。

▲赤のシアターは、ザ・映画館といった風貌ですが、ブルーのシアターは劇場やコンサート会場のような雰囲気がありました。

ここの映画館ならではの魅力ですか…それでいうとやはり、35ミリフィルム映写機も置いていることでしょうか。
今はすべてがデジタル化される時代ですが、もちろん映画も例外ではありません。ハリウッドがデジタルに切り替えたことをきっかけに、2009年頃から一気に全国の映画館がデジタルシネマに設備を入れ替えました。もちろん、わたしどもも話題の新作を流すこともあるのでデジタルにも対応しています。
ですが、それだと本当の意味で映画を楽しんでもらえないと思うんです。

家事のちょっとした息抜きや、遠出はしんどいが気分転換がしたい主婦やご年配の利用者が多いシネ・ピピア。気軽に何度も訪れても楽しめる地元の人たちの為の映画館として、飽きさせないラインナップを大切しているそう。

だからこそ、歴史的名作から新作まで幅広く何でも流せるよう35ミリフィルム映写機を手放せないのだと景山さんは語ります。

バラエティー豊かなラインナップだけでなく、大型シアターでは出会えない、見どころある海外映画も放映していますよ。何度も通っていただく中で、お気に入りの一作品と出会っていただけると嬉しいですね。

基本的にはわたしのセレクトですが、利用者の方からのリクエストから選ぶこともあります。
最近では、三浦春馬さんの命日に合わせて「君に届け」を放映しました。実は、「君に届け」もフィルム映画なんですよ。掲示板を埋め尽くすほどファンの方からリクエストが寄せられました。今でもずっと愛されている俳優さんですね。

「ピピアめふ」と阪神淡路大震災

こんなにも地元に寄り添った映画館というのは珍しい。そのわけを聞くと意外な答えが返ってきました。

それは、ここが公設民営の映画館だからです。もともとここは商店街エリアでしたが、阪神淡路大震災で倒壊してしまいました。そこで宝塚市の主導もと、震災復興事業として1995年10月に誕生したのが、ここ"ピピアめふ"です。
震災当時はただでさえ精神的につらい状況の中、寒い体育館、周りには見ず知らずの人々ばかりのなかで寝泊まりをする環境でした。その反省を繰り返さないようにするために、施設内には様々な防災設備がされています。

▲1995年頃のピピアめふ

震災が起きた時、一番必要なのは水。ピピアめふには、自家発電装置が備わっており、地下水をくみ上げてトイレやシャワーが使えるとか。また、映画館で寝泊まりもできるよう、厚めのクッションを座席に使用しています。

何より「心の復興」を旗印に、地域コミュニティの、また文化発信の拠点として運営を続けてきたシネ・ピピア。何かあった時に、すぐに助け合えるように、映画を通じて交友関係を広げる手伝いもしているそう。

街自体は綺麗になって復興から立ち直ったとしても、人の心が立ち直らなければ意味がないと思うんです。もちろんそれは震災に限ったことではなく、日々の暮らしで辛いことがあった時も同じです。映画を通じて感動や喜びを感じ、少しでも多くの方が前向きな気持ちで明日を迎えていただきたいと思っています。

晴れの日に見に行く映画館ではなく、その方の一生に寄り添う映画館でありたいですね。

 

 

シネ・ピピア

住所:〒665ー0852 兵庫県宝塚市売布2ー5ー1 ピピアめふ5F

WEBサイト:http://www.cinepipia.com/

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