陽の光がたっぷりと空間を包み込み、心地の良い風が吹き抜ける。
シンプルなデザインだからこそ、日々のライフスタイルが輝いて見える、そんなお家。
今回訪れたのは、築42年の木造2階建てをリノベーションされたK様宅。
家づくりをするなら、リノベーション一択だったと語るK様。わざわざ中古物件を購入してまで、リノベーションを選ばれた理由とは…?
リノベーションを選んだ理由
懐かしい雰囲気を纏った空間が好きで、趣味のゲストハウス巡りも、築古の商業施設や古民家を改装した建物に泊まることが多いK様。
特にお気に入りのゲストハウスについて伺うと、
岡山県にある「とりいくぐる」というゲストハウスのファンなんです。
岡山県奉還町にある、かつて肉屋だった築60年以上の建物をリノベーションした複合施設。
その一角にあるゲストハウス&ラウンジ「とりいくぐる」。その名の通り、施設の前に立つ「鳥居」をくぐって中に入るのだとか。
けれど、K様とリノベーションの繋がりはそれだけではなく…
じつは、前のお家もリノベーションされた賃貸物件なんです。
「MUJIのUR団地」に住んでいました。
デザインからつくりまで、何もかもがお気に入りだったと語る奥さま。
しかし、もとは古い団地。エレベーターがなく、5階に住む施主様にとって大きなネックでした。
元気なうちはいいけど、ずっと住み続けることは難しいかなと思い、MUJIさんの新築住宅見学会を見に行きました。
団地と似た雰囲気のデザインで素敵だったんですけど、でも僕たちはやっぱり新築じゃなくて良いかなと思ったんです。
やはり古い建物が持つ、趣を感じる空間が好きなのだと再認識したK様。
そんな折、Instagramで築古平屋をリノベーションしたモデルハウスを見かけたそう。それが美想空間との出会いでした。
築42年から受けたインスピレーション
中古物件の内覧で出会ったのは、築42年の木造2階建て住宅。
お家に入った瞬間、やられました。
板張りの吹き抜け天井。その先には、レトロな手すり階段。
この景色が、施主様の心を掴みました。
初回の内覧で、イメージが決まりました。実は、私がちょっと建築をかじってまして、自分で理想の間取りも描いたんです。
内覧をした日に、夜中までかけて考えたという間取り。
奥さまの理想はどのように叶えられたのでしょうか?
土間をマストでつくりたかった奥さま。
こだわりは、古建具を使った便利過ぎる生活動線。このお家にあった建具を再利用しています。
できるだけ既存の扉を使いたかったんですけど、老朽化でほとんど残せなかったんです。なんとか残せたのが、あの扉でした。
ガラスは耐久性を考え、差し替えています。足元は隠せるよう曇りガラスに。
そして、扉を抜けるとキッチンパントリーが。
買い物帰りに、最短距離で冷蔵庫までたどり着けるという、なんとも嬉しい動線。
想い描くのは、あの団地
どんなテーマで家づくりをするか…
おふたりが想い描いたのは、お気に入りだったあの「MUJI団地」でした。
ポイントは、まさにMUJI団地らしさが表れた、優しい色味の木素材をあしらった白を基調としたデザイン。
そこに、タイルや室内窓など、K様好みを取り入れて、唯一無二のお気に入り空間をつくりました。
無印良品の調理器具や収納グッズが並べられたキッチン。
天井照明やレンジフードは、団地の時に使われていた物を採用しました。
ただ、キッチン自体は団地の時と180度変わっています。
主人が料理担当なんです。
間取りとか全体的なデザインは私が決めましたが、キッチンは彼がこだわりました。
イメージは調理場っぽい感じで。とにかく、作業スペースの広いキッチンをつくりたかったんです。食材や調味料をずらっと並べて料理をすることに憧れていました。
そうして完成したのが、空間を存分に活用したL字型キッチン。
手もとを隠すための腰壁も一切なく、料理を提供される人たちは、ご主人の手さばきを楽しむこともできます。
なんと、魚をさばくのもお手の物だとか。
さらに、食洗機も完備。洗浄力と内容量の大きさで好評の、海外メーカー「Bosch」を選びました。
料理にこだわるほど、使う調理器具だってたくさん。食洗機はご主人にとって、思いっきり料理を楽しむための、大切な相棒です。
「入れただけで終わったね」が僕たちの口癖になりつつあるね(笑)
この時間はプライスレスです!
やっぱり「とりいくぐる」は外せない
ガラス扉を付けて、デザインにひと手間加えたニッチ。
「とりいくぐる」さんの電気メーターが、あんな感じでガラス扉が付いたケースに収納されていたんです。すごくかわいいなって印象に残っていて、真似しました(笑)
同じように電気メータで再現したかったそうですが、メーターの構造上断念。
飾り棚として、暮らしを楽しむ場所になっています。
リノベの先輩からのメッセージ
昔懐かしいあったかさを残したまま、新しい設備で暮らすことができるので、生活に不便はないし、住み心地の良さも感じます。
間取りの自由さとか、デザインへのこだわりを新築で叶えようと思うと、予算が結構かかる注文住宅になると思うんですよ。リノベーションだとそれが叶えられるのがいいですよね。
ここで撮影裏話。
4枚ともガラスが違う室内窓。
実はこのデザインのモデルは、美想空間の大阪市港区のショールーム「KLASI COLLEGE(クラシカレッジ)」にある室内窓のサンプル。
ガラスの見比べを楽しむためにつくった物でしたが、「このデザイン、面白いやん」とそっくりそのまま採用。見覚えがあるなぁと思ったら、やはり。
サンプルをデザインとして採用する、K様のユーモアセンスに脱帽です。