ガラガラと鳴る引き戸の音に出迎えられ中へ入ると、昔ながらの風情を大切にした空間が広がっていました。
物件との出会い
今回訪れたのは、築41年の古き良き和住宅をリノベーションされたH様宅。
以前は、賃貸マンションにお住まいだったH様。お子様のご入学を機に、お家探しをスタートされました。
主人の職場が京都なのですが、実家がある大阪からも離れたくなくて、京都と大阪の県境で中古物件を探していました。5件ほど内覧しましたね。
いいなと思っても、古いお家は駐車場の問題がなかなかクリアしないんですよね…
このお家は2台分の駐車スペースがあって、広くはないですがちゃんと庭付きなのが嬉しかったですね。古民家まではいかないけど、昔懐かしい雰囲気も良いなと思いました。
築41年から受けたインスピレーション
H様の目に留まったのは、自然光がこれでもかと降り注ぐ、お庭に面した縁側。足を踏み入れると少しきしむ音が聞こえ、懐かしい気分に誘われます。
憧れの縁側を見つけた時、このお家にしようと思ったんです。だからこそ、この縁側を残すことは即決でしたね。
せっかく古いお家を選んだのに残さないと意味がない、そんな思いも内覧時からあったと思います。
ここからはプランナーの腕の見せどころ。
既存を活かすといっても、新しい部分との塩梅が大切。少しだけだと埋もれたり、悪目立ちしたり、反対に取り入れすぎると野暮ったくなってしまいます。
例えば、古着に真新しい服を合わせようすると、上手く嚙み合わないことがありますが、既存を活かすリノベーションでしていることは、まさにそれなのです。
僕らではまったくわからないので、残す、残さないの最終的な決定は、プランナーの中平さんに全振りでした(笑)その方が、ぜったいセンスよくまとめてくれると信じていたので。
和室の名残をとどめたリビング。
天井や障子、欄間などを活かすために、和住宅ならではの真壁(梁や柱が見える壁)もあえて残しています。
仏間と押入れがあった場所は、はじめは収納スペースを設ける計画もありました。
ですが、空間に圧迫感が出てしまう点や、部屋の景観を考えると面白みがない…
ということで思いついたのが、小上がりでした。
周りを囲まれていることで、お籠り感がある小上がり。
小上がりの下には、ご主人がDIYで作った収納棚が。
DIYなんてガラじゃないけど、頑張ってつくってみました。ちょっと収まりが微妙な棚もあるんですが、それも手作りの醍醐味ですよね(笑)
もちろん、古さを一新した場所も。
以前は洗面室がなく、浴室も狭く、さらにはトイレが廊下奥の暗い場所にあり、水回りは最悪だったと語るH様。
水回りの便利さは、暮らしやすさに直結するもの。
まずは洗面室を新設、脱衣室と浴室は親子で入っても十分なスペースを取りました。さらに、キッチン、脱衣室・浴室・洗面・トイレを一直線に繋ぎ、家事動線も整えています。
すべての水回りが繋がっていることって大事ですよ。家事のしやすい暮らしってこういう家かぁと実感しています!
お気に入りの過ごし方
たまにですけど、ひとりで籠りたくなる日があるんですよ。そんな時は、縁側の椅子に腰かけて、障子を閉めてシャットダウン!
植物を眺めながら、ぼーっとするのがお気に入りの過ごし方です。
縁側にカーテンは付けたくない、と語るH様。なので、ゆくゆくはこのお庭に、ご主人がDIYで藤棚を設けるそう。
リノベーションの魅力について
「古い」というのは、時としてイメージダウンに繋がる時もあります。
ですが、H様のリノベーションはあえて「古さ」を活かした家づくり。H様が考える既存を活かしたリノベーションの魅力とは?
わざわざ古く加工してつくったとしても、きっと同じ仕上がりにはならないと思います。だからこそ特別に感じます。
その特別感が私は好きなので、新築という選択肢はありませんでしたね。リノベーションをするか、古い物件を買って自分たちでDIYするかの2択で考えていました。
リノベの先輩からメッセージ
妻とは違って、僕はリノベーションに全然興味がなかったんです。でも、古い家に新しい物を入れて自分好みに仕上げるのって面白いですよ!
正直に言うと、はじめは本当にこの古い家を選んで良かったのか…とちょっと不安に思ったこともありました。でも、美想空間さんは、古さを活かしたリノベーションが得意なので、最終的には安心してお任せできました。
子どもたちが「こんな古い家はイヤ!」の一点張りで、なかなかリノベーションに賛成してくれませんでした。そういえば、このお家のトイレを見た時は「ひとりでトイレに行けない…」と怖がっていました(笑)
でも、いまでは元気に駆け回っています。もちろんひとりでトイレにも行ってくれています。
余談ですが、最後に撮影裏話。
鑑賞用の魚・爬虫類などの仕入れ販売を行っているご主人。LDKの一角には、ご主人が厳選した様々なペットたちが一緒に暮らしていました。
特に、奥さまお手製のボトルアクアリウムがとっても素敵で、小さな魚たちが優雅に泳ぐ姿に、しばらく目が釘付けになりました^ ^